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2018年07月21日

ドイツ映画を見る会に参加して~ゾフィー・ショル最後の日々

会員 林 典人

昨年6月ミュンヘン大学院生のベルガーさんのミニ講演があり、白バラグループのことにも触れられたのを機に、ドイツ語で書かれたものも含めてナチスへの抵抗運動について書かれた本を数冊読んでいたので、興味があってこの映画会に参加しました。
映画が終わった時、周囲から「重たい映画だ」との声を耳にしました。ショル兄妹の逮捕、尋問、裁判で、あっという間に時間が過ぎましたが、中身の濃い内容であったと思います。ビラ配りが見つかれば処刑されるかも知れない恐怖を跳ね返し、ビラ作成や郵送にかかる膨大な労力や苦労をしてまで、彼らを抵抗運動に向かわせたものは何だったのでしょうか?彼らの家庭環境、キリスト教精神から来る精神の自由と良心の独立のほかに、戦場を直接見た者の平和への使命感を、若さの純粋さが推し進めたのではないでしょうか?
映画の後の討論会で話された中に、戦時中も戦後しばらくも、ドイツ国民のかなり多くがナチスを支持していた、という話がありました。杉谷先生の言葉も交えますと、過酷なベルサイユ体制から経済の再興とドイツ国民の自信回復に貢献したとして、ヒトラーとナチスに戦後も支持が残っていたようです。映画の中でも、ショル兄妹が期待した反戦決起が起こらなかったのも、ひとつはそれが原因だったのかも知れません。
ようやく70年代頃よりナチスの否定、戦争の謝罪賠償と社会が変わっていったのは、これも杉谷先生の言葉を交えますと、ブラントのような亡命者帰国や元々のキリスト教の精神的支柱に加え、戦前のしがらみのない、戦後の人材だけで国が動かせる時代になったからではないかと思います。
ナチスの法的正当性と現実社会の物質的幸福をゾフィーに説く尋問官の言葉は、私もつい説得させられてしまいそうでした。しかし、ゾフィーは反論します。「神は選択を許すが、ナチスは選択を許さない」。そこに、精神の自由と良心の責任を見る思いがしました。